歯周病予防では、年3回の歯石除去などのメンテナンスを行うことが大切です。

メンテナンスの重要性

人にはそれぞれ、細菌に対しての抵抗力にも個人差があり、10人に1人位は、歯石を除去しなくても影響が少ない人もいますが、逆に抵抗力の弱い人では、30代でも、かなりひどい状態の歯周病に侵されている人もいます。そして40代では、歯のほとんどがインプラントや入れ歯の人もいらっしゃいます。20歳を過ぎて、自身で健康管理をするようになってから、年に3回(3~4カ月に1度)だけでも、歯科医院で歯石除去を行っていれば、歯周病で悩むこともないのに…と思うことは多々あります。

3~4カ月ごとに歯石を除去している人では、5年後の歯の骨の状態にほとんど変化が見られないというデータもあります。逆に、歯石を1年間放置していると、歯の骨の状態も変化してくることが分かっているます。
このような、データが長年蓄積されて、3~4カ月に一度の歯科医院で専門的な歯石除去が必要なのです。


メンテナンスは、治療によって得られた口腔内の健康な状態を持続させ、歯周病の予防と再発の防止を目的としています。具体的には、歯周ポケット内の歯周病菌であるグラム陰性菌群は、処置した後12~16周で、もとの細菌叢に戻ってしまう傾向があります。
そこで、細菌の量が悪影響を起こしだす前に、プロフェッショナルプラークコントロールを行って、歯周病の再発を予防するために、患者さんの歯周環境に応じた、今後のメンテナンスプログラムを決定します。

次回来院日(リコール)を必ず守りましょう

メンテナンスプログラムにそって、次回来院日(リコール)が指定されます。この感覚は、基本的に3ヶ月とされていますが、再評価やパーソナルプラークコントロール(ご自身での歯磨きなど)の程度によって、短くなったり、徐々に延ばされたりします。患者さんのお願いしたいことは、このリコールを必ず守って欲しいとうことです。
もし、リコールを守らずメンテナンスを定期的に行わないと、確実に歯周病は進行し再発してしまいます。


風邪でも同じように感染症は、感染する菌の数が少ない場合は、体のもつ抵抗力により感染を防いでいます。バイオフィルムにおいても、スケーリングにより歯石を除去した、1週間後や1カ月後は、まだ細菌の数が少なく、体の抵抗力によって感染を防いでいます。
歯石を取って下さいと言われる患者さんの中には、2年前に歯石を取ったきりでそのままといった患者さんもいらっしゃいます。これでは、意味がありません。一時的に口の中の清涼感はあると思いますが、歯周病予防には全くなりません。なので、下の表にもありますが、歯周病予防のメンテナンスでは、細菌が増殖する時期の3ヶ月を目安に、リコールを必ず守ることが大切です。それにより、歯周病予防が成立するのです。

歯周病予防への想い

歯周病になってしまう原因が分かっているのに、病気を克服できないのは、患者さんに歯周病の治療法が行き渡るシステムがまだ出来あがっていないのも悩ましいところではあります。例えば、20歳と過ぎたら年3回の歯科医院での歯石除去が義務付けられていたなら、インプラントや入れ歯にする人はいなくなるかもしれません。
それほどまでに、歯を失う原因の大半が、口の中の細菌によるものなのです。

私たち歯科医医師は、患者さんのレントゲンを撮り年齢と比較することで、歯周病になりやすいタイプかがはっきり分かります。例えば、30代なのにここまで歯の骨が下がっているのか…という人は歯周病になりやすく、すでに歯周病にかかっている可能性もあります。
そのような患者さんには、1カ月に1回のメンテナンスを行ったり、国際歯周内科研究会でも確立されている口腔内の除菌を行います。
実際に、口腔内の除菌は、高い効果が見られますので、メンテナンスと併用して治療を行っていきます。